クーリングオフとは、消費者が一定期間、説明不要で無条件で申込みの撤回または契約を解除できる、宅地建物取引業法に定められた制度です。
不動産に限った事ではありませんが、営業マンの無理な勧誘や誘導により、自分の意思とは反して契約をしないよう、消費者が再考する機会を与えるために設けられました。
しかし、契約という意思表示を一度行った以上、「無期限に」という訳にはいきません。
不動産の契約の場合「契約日を含めて8日以内」であればクリーングオフ制度が利用できます。
また、クーリングオフ制度は、自分の意思とは異なる契約へと誘導された消費者に対しての制度です。
つまり、「本当は契約する気はなかったのに、無理やり契約させられた」方への救済処置です。
このため、以下の事項に該当する場合は適用されませんので注意しましょう。
■取引の条件
売主または買主のどちらか一方が「宅地建物取引業者」の場合にクーリングオフは適用されます。
これは、取引相手が業者の場合、消費者よりも取引等の知識や経験値が豊富なため、不利な契約から消費者を保護するためです。
逆に、中古物件等で個人間の売買契約の場合はクーリングオフの対象にはなりません。
■意思決定をした場所の条件
上記「取引条件」を満たしても、以下のどれかに該当した場合はクーリングオフの対象外となります。
①売主である宅建業者の事務所
②その売主から依頼を受けた媒介・代理業者の事務所
③専任の取引士がいる案内所や一定の展示会などの催しを実施する場所
④マンションのモデルルーム
⑤買主が自ら申し出た場合の買主の自宅もしくは勤務先
■ケーススタディー
①大澤さんは新築戸建(売主は宅地建物取引業者)の申込書を自宅で記入、メールで仲介会社へ送付し、仲介会社事務所で契約しました。
A.契約した場所が正常な意思決定ができる場所に該当するためクーリングオフの対象にはなりません。
②大澤さんは新築戸建(売主は宅地建物取引業者)の申込書を仲介会社事務所で記入、喫茶店で契約しました。
A.意思決定は申込の段階で行なっているため、クーリングオフの対象にはなりません。
③大澤さんは新築戸建(売主は宅地建物取引業者)の現地販売会で申込書を記入、購入する物件内で契約しました。
A.意思決定場所の条件を満たしていないため、クーリングオフ対象となります。
不動産会社の中には、とにかく契約のメリットだけ伝えて契約を締結させようとする業者もいます。
不動産は金額の大きな取引です。
その取引がクーリングオフ制度の対象になるのかを事前にしっかりとチェックしましょう。