COLUMNスタッフコラム

売買契約書のポイント②


契約書の裏面


裏面には、売買契約の約定が記載されています。

細かな文字かたくさん記入されているので、読み飛ばしてしまいがちです。

また、重要事項説明→売買契約となると、裏面の説明は疲れたり眠くなる時間帯に行います。

ですので、事前にどのような内容が書いてあるのか、大まかに理解しておきましょう。

※以下の項目は区分所有の場合となります


■売買の目的物および売買代金

条文例 / 売主は、買主に対し、表記区分所有建物および表記敷地権の目的である土地の共有持分を表記売買代金で売渡し、買主は、これを買受けました。

売買契約の目的を定めます。


■手付金

条文例 / 買主は、売主に対し、表記手付金を本契約締結と同時に支払います。

条文例 / 売主および買主は、手付金を表記残代金支払いのときに、売買代金の一部に無利息にて充当します。

手付金を発生させる場合の処理方法を定めます。


■売買代金の支払いの時期、方法等

条文例 / 買主は、売主に対し、売買代金として、表記内金および残代金を、表記各支払日までに現金または預金小切手をもって支払います。

手付金以外の代金の支払い方法を定めます。


■売買対象面積

条文例 / 売主および買主は、本物件の売買対象面積を表記面積とし、同面積が測量による面積と差異が生じたとしても、互いに売買代金の変更その他何らの請求もしません。

不動産の対象面積を、実測によるものとするか、登記簿に登録された面積とするかを定めます。


■所有権の移転の時期

条文例 / 本物件の所有権等は、買主が売主に対して売買代金全額を支払い、売主がこれを受領した時に売主から買主に移転します。

所有権をいつ買主へ移転するかを定めます。


■引渡し

条文例 / 売主は、買主に対し、本物件を表記引渡日に引渡します。

不動産の引渡しをいつ行なうか定めます。


■抵当権等の抹消

条文例 / 売主は、買主に対し、本物件について、第5条の所有権等の移転時期までにその責任と負担において、先取特権、抵当権等の担保権、地上権、賃借権等の用益権その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消します。

売主は不動産に設定されている様々な権利を綺麗にして引渡すように義務付けられます。現在どのような権利が設定されているか事前に登記簿謄本で確認しておきましょう。


■所有権等の移転登記等

条文例 / 売主は、買主に対し、売買代金全額の受領と同時に本物件について、買主の名義に、所有権等の移転登記手続をします。

条文例 / 前項の登記申請に要する費用は、買主の負担とします。ただし、本物件に関し、前項の所有権等移転登記手続前の所有権等登記名義人の住所、氏名等の変更登記を要する場合の費用は、売主の負担とします。

所有権の移転に係る登記手続きをどのように行うか定めます。


■引渡し完了前の滅失・毀損

条文例 / 売主および買主は、本物件の引渡し完了前に天災地変、その他売主ないしは買主いずれの責にも帰すことのできない事由により、本物件が滅失または毀損して本契約の履行が不可能となったとき、互いに書面によりその相手方に通知して、本契約を解除することができます。ただし、本物件の修復が可能なとき、売主は、買主に対し、その責任と負担において本物件を修復して引渡します。

条文例 / 前項により本契約が解除されたとき、売主は、買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。

天災などにより不動産の引渡しが出来なくなった場合の処理の仕方を定めます。


■物件状況報告書

条文例 / 売主は、買主に対し、本物件について、本契約締結時における状況を別紙「物件状況報告書(告知書)」に記載して説明します。

物件状況報告書とは、不動産の状況を買主に報告するための告知書です。


■公租公課等の分担

条文例 / 本物件から生ずる収益または本物件に対して賦課される固定資産税、都市計画税等の公租公課ならびに管理費および修繕積立金等、ガス、水道、電気料金および各種負担金等の諸負担は、引渡完了日の前日までの分を売主の収益または負担とし、引渡完了日以降の分を買主の収益または負担として、引渡完了日において清算します。なお、公租公課の起算日は表記公租公課の清算起算日とし、売主に管理費および修繕積立金等の滞納があった場合にはその額を売買代金額から控除の上、買主においてこれを支払うこととします。

税金や管理費、光熱費など、不動産で発生する料金等の精算方法を定めます。


■瑕疵の責任

条文例 / 売主は、買主に対し、建物の専有部分における隠れたる瑕疵につき以下のものに限り責任を負い、それ以外の建物の瑕疵および土地の瑕疵ならびに共用部分に原因がある瑕疵について、責任を負いません。

(1) 雨漏り

(2) シロアリの害

(3) 給排水管の故障

なお、買主は、売主に対し、本物件について、前記瑕疵を発見したとき、すみやかにその瑕疵を通知して、修復に急を要する場合を除き売主に立会う機会を与えなければなりません。

条文例 / 売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負います。なお、責任の範囲は、修復にかぎるものとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵について、修復の請求以外、本契約の無効ないしは解除を主張し、または損害賠償の請求をすることはできません。

条文例 / 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。

引渡し後に不具合(瑕疵)が発生した場合どのように処理するのかを定めます。売主の責任期間がどのくらい設定されているのかをしっかり確認しましょう。


■設備の引渡し

条文例 / 売主は、買主に対し、別紙「付帯設備表」中「設備の有無」欄に「有」とした各設備の引渡しを第6条に定める本物件の引渡しと同時に行います。

設備表とは、不動産に設置されている設備類の稼働状況を報告するための告知書です。すでに故障不具合が発生していると報告された設備類は保証対象にはなりませんので注意しましょう。


■手付解除

条文例 / 売主および買主は、本契約を表記手付解除期日までであれば、その相手方の本契約の履行の着手の有無にかかわらず、互いにその相手方に書面により通知して、本契約を解除することができます。

条文例 / 売主が前項により本契約を解除するときは、売主は、買主に対し、手付金等受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を支払わなければなりません。買主が前項により本契約を解除するときは、買主は、売主に対し、支払済の手付金を放棄します。

買主は手付金を放棄することによって契約を白紙に戻すことが出来ます。また、売主も手付金と同額を支払うことによって白紙に戻せます。個人間の契約の場合は解除できる期日が設定されるので注意してください。


■契約違反による解除・違約金

条文例 / 売主および買主は、その相手方が本契約にかかる債務の履行を怠ったとき、その相手方に対し、書面により債務の履行を催告したうえで、本契約を解除して表記違約金の支払いを請求することができます。なお、違約金は、現に生じた損害の額の多寡に関わらず、増減はしないこととします。

条文例 / 違約金の支払い、清算は次のとおり行います。

(1)売主が違約した場合、売主は、買主に対し、すみやかに受領済みの金員を無利息にて返還するとともに、違約金を支払います。

(2)買主が違約した場合、違約金が支払い済みの金員を上回るときは、買主は、売主に対し、すみやかにその差額を支払い、支払い済みの金員が違約金を上回るときは、売主は、買主に対し、受領済みの金員から違約金相当額を控除して、すみやかにその残額を無利息にて返還します。

契約違反が発生した場合の処理の方法を定めます。


■融資利用の特約

条文例 / 買主は、売買代金の支払に関して、表記融資金を利用するとき、本契約締結後すみやかにその融資の申込み手続をします。

条文例 / 表記融資承認取得期日までに、前項の融資の全部または一部の金額につき承認が得られないとき、買主は、売主に対し、表記契約解除期日までであれば、本契約を解除することができます。

条文例 / 前項により本契約が解除されたとき、売主は、買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。なお、この場合、売主は買主に対し、損害賠償の請求等をなすことはできません。

買主が融資利用出来なかった場合の処理の方法を定めます。解除できる期日が設定されるので注意してください。


■印紙の負担区分

条文例 / 売主および買主は、各自が保有する本契約書にその負担において法令所定の印紙を貼付します。

契約書に貼る印紙の負担をどのようにするか定めます。


■管理規約等

条文例 / 売主は、買主に対し、本物件に関する管理規約等の定めがある場合には、それを記載した書面を第6条に定める本物件の引渡し完了時までに交付します。

条文例 / 売主は、前項の管理規約等で定められた義務のすべてを買主に継承させ、買主はこれを承継します。

マンションの場合、管理規約の取扱いを定めます。


■契約当事者が複数のときの特例

条文例 / 売主ないしは買主の一方または双方が複数のとき、本契約に基づく債務は連帯債務とします。また、本契約に関する通知は、複数の相手方のうちの一人に到達したときに、その全員に対し効力を生じます。

契約当事者が複数いるときの取扱いを定めます。


■管轄裁判所に関する合意

条文例 / 売主および買主は、本契約に関する管轄裁判所を本物件所在地を管轄する裁判所とします。

契約事項に問題が発生し、裁判所を利用する場合の裁判所を定めます。


■規定外事項の協議義務

条文例 / 本契約書に定めのない事項については、民法、建物の区分所有等に関する法律、その他関係法規および不動産取引の慣行に従い、売主、買主互いに誠意をもって協議します。

人間同士の契約ごとになりますので、誠意を持って契約を履行していく事が大切です。


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